イラン戦争でナフサ危機?原油は254日分でも日本の産業が止まる理由を解説

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「日本には原油の備蓄が254日分ある」
ニュースでそう聞くと、多くの人は「日本はエネルギー危機でも大丈夫」と思うかもしれません。

しかし現在、専門家が本当に警戒しているのは原油ではなく「ナフサ不足」です。

もしナフサが不足すると、日本の産業は意外なところから止まり始めます。
そしてそれは、私たちの生活にも直接影響します。

この記事では

  • ナフサとは何か
  • なぜ原油があっても危機になるのか
  • ナフサが止まると生活はどう変わるのか

をわかりやすく解説します。

ナフサとは?プラスチックの「米」と呼ばれる資源

ナフサとは、原油を精製したときに作られる石油製品の一つです。

そしてこのナフサは、石油化学産業の最も重要な原料といわれています。

ナフサは石油化学工場で分解され、次のような基礎化学物質になります。

  • エチレン
  • プロピレン
  • ベンゼン

これらは、さらに加工されて次の製品になります。

ナフサ → 化学原料 → 日用品

例えば

  • プラスチック
  • ビニール袋
  • 食品トレー
  • ペットボトル
  • スマホ部品
  • 自動車部品
  • 医療用品
  • 合成繊維

など、私たちの生活に欠かせない製品の多くがナフサから作られています。

つまりナフサは、
「石油化学産業の米」とも呼ばれるほど重要な原料なのです。

日本はナフサを中東に大きく依存している

問題は、日本のナフサの多くが中東から輸入されていることです。

実際、日本のナフサの4割以上が中東依存とされています。

さらに、日本の原油の約95%は中東から輸入され、
その多くがホルムズ海峡を通っています。

このホルムズ海峡は、世界のエネルギー輸送の要所です。

ところがイランを巡る軍事衝突が起きると、この海峡の船の通航が大きく減少する可能性があります。

つまり、エネルギーの輸送そのものが止まるリスクがあるのです。

なぜ「原油254日分」でも安心できないのか

日本政府は、国家備蓄などを合わせて約254日分の原油備蓄を持っています。

しかし、ここに大きな落とし穴があります。

それは

備蓄されているのは「原油」であって、ナフサではない

ということです。

ナフサは、次のような流れで使われます。

原油

石油精製

ナフサ

化学工場

プラスチックなど

つまり、ナフサが足りないと

化学工場が止まる

可能性があるのです。

日本では石油化学産業が大きな役割を担っているため、
原料不足が起きると製造業全体に影響が広がります。

ナフサ不足が起きると何が止まるのか

ナフサ不足が起きると、影響は非常に広範囲に及びます。

① 食品包装が不足する

スーパーの食品の多くは

  • 食品トレー
  • ラップ
  • ポリ袋

などのプラスチック包装に頼っています。

石油化学工場が止まると、
これらの包装資材が不足する可能性があります。

そうなると、食品の流通や販売にも影響が出る可能性があります。

② 物流が止まり始める

物流では次のような資材が必要です。

  • プラスチックパレット
  • 梱包フィルム
  • 緩衝材

これらの多くもプラスチック製です。

ナフサ不足が起きると、これらの資材が不足し、
商品を運ぶこと自体が難しくなる可能性があります。

物流は経済の血管ともいわれる存在です。
その資材が不足すれば、経済全体に影響が広がります。

③ 自動車・家電が作れなくなる

現代の製品はプラスチック部品に大きく依存しています。

例えば自動車の場合

  • 内装パーツ
  • 電装部品
  • 樹脂カバー

など、数百点の樹脂部品が使われています。

そのため、ナフサ不足は

自動車産業・電子機器産業

にも大きな影響を与える可能性があります。

日本は製造業が強い国なので、この影響は非常に大きいといえます。

④ 物価が急激に上がる

ナフサが不足すると

  • プラスチック
  • 化学製品
  • 電子材料

などの価格が上昇します。

これらは多くの製品の原料になっているため、
最終的には

日用品の値上げ

につながる可能性があります。

つまりナフサ不足は、
生活費の上昇という形で私たちに影響する可能性があるのです。

日本が特に危ない理由

日本は、エネルギー安全保障の面で弱点があります。

その理由は3つです。

① エネルギー輸入依存国

日本はエネルギーの大部分を海外からの輸入に頼っています。

② 中東依存が大きい

日本の原油の大部分は中東地域から輸入されています。

③ 海上輸送に依存

石油やナフサはタンカーによる海上輸送で運ばれます。

そのため、海峡封鎖や軍事衝突が起きると、
供給が止まるリスクがあります。

つまり日本は

地政学リスクに非常に弱い国

なのです。

では本当に生活は止まるのか?

結論から言うと

すぐに生活が止まるわけではありません。

理由は次の通りです。

  • 日本には原油備蓄がある
  • 他の地域から輸入できる可能性がある
  • 石油化学企業が一定の在庫を持っている

などの要因があるからです。

ただし問題は

紛争が長期化した場合です。

ナフサの在庫は、一般的にそれほど長くは持たないといわれています。

もし輸送が長期間止まると

  • 化学工場の停止
  • 物流資材の不足
  • プラスチック製品の不足

などの形で
じわじわと経済活動が止まり始める可能性があります。

まとめ

ナフサ危機は「静かな産業危機」

今回のイラン情勢で注目されているのは、
単なる原油価格の上昇ではありません。

本当の問題は

ナフサ不足による石油化学産業の停止

です。

ポイントをまとめると

  • 日本には原油備蓄254日分がある
  • しかしナフサは別の問題
  • ナフサはプラスチックの原料
  • 不足すると物流・食品・製造に影響する

つまり今回の危機は

「ガソリン不足」ではなく
「プラスチック不足」

になる可能性があります。

エネルギー問題というとガソリン価格ばかり注目されがちですが、
実は私たちの生活を支えているのは

石油化学製品

です。

そしてその原料であるナフサは、
世界情勢によって供給が大きく左右される資源でもあります。

今回のニュースは、
現代の生活がどれほど石油化学製品に依存しているのかを
改めて考えさせる出来事といえるでしょう。