世界のレアアース保有国ランキングTOP10|中国は何位?埋蔵量と各国の状況を徹底解説

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近年、電気自動車(EV)、風力発電、永久磁石、通信機器、軍事機器などの基幹部品に使われる「レアアース(希土類元素)」が、国際政治・経済のホットトピックになっています。

鉱床としての“持ち物”(=埋蔵量=reserves)と、実際に掘って精製する「生産・加工能力」は別物で、特に中国は加工段階での優位性が高く、世界のサプライチェーンを握っている点が問題視されます。以下は、米国地質調査所(USGS:Mineral Commodity Summaries 2025)を基にしたレアアース埋蔵量(RESERVES)ランキング TOP10と、それぞれの国の状況解説です(数値はREO換算)。主要な根拠はUSGSの報告です。

TOP10(埋蔵量=REO換算、USGS 2025データ)

  1. オーストラリア — 約135,700,000トン
  2. 中国 — 約44,000,000トン
  3. ブラジル — 約21,000,000トン
  4. インド — 約6,900,000トン
  5. ロシア — 約3,800,000トン
  6. ベトナム — 約3,500,000トン
  7. アメリカ合衆国 — 約1,900,000トン
  8. グリーンランド — 約1,500,000トン
  9. タンザニア — 約890,000トン
  10. 南アフリカ — 約860,000トン
    (参考:カナダは約830,000トン、その他にも多くの資源が散在)。

以下、国別のポイント解説(読みやすく短めに)。

1. オーストラリア(トップ、埋蔵量が突出)

  • 状況:USGSデータでは最大の埋蔵量を保有。鉱山開発やJORC準拠の資源報告が整備されており、投資家や企業からの注目度が高い。鉱区の開発速度と加工インフラの整備が今後の鍵。
  • 注目点:埋蔵量は多いが、採掘→選鉱→精錬(分離・濃縮・酸化物化)まで自前でやれるかが鍵。中国の加工チェーンに依存しない「バリューチェーン構築」が政策課題。

2. 中国(埋蔵量2位だが“加工力”で圧倒)

  • 状況:埋蔵量は大きい(約4,400万トン)である一方、実際の生産と精錬・分離能力(中間体生産)で世界を支配。多くの製品は中国で精製され、最終製品まで行くケースが多い。国際政治上、輸出管理や供給不安で注目される理由はここにあります。
  • 注目点:埋蔵量だけでなく“どこで最終的な加工が行われるか”が現実の影響力を決める。

3. ブラジル(資源量は豊富)

  • 状況:21百万トンと大規模な埋蔵量を報告。鉱床調査は進むが、インフラや環境規制、加工投資の面で課題もある。地理的にも南米にまとまった資源を持つため、供給多様化の候補国として注目される。

4. インド(戦略的に重要)

  • 状況:約6.9百万トンの埋蔵量。政府は鉱物資源の活用と製造業育成を掲げ、レアアースの開発・精製に関心を寄せている。国内需要の増加と輸出戦略が焦点。

5. ロシア(資源はそこそこ、政策次第で伸びる)

  • 状況:約3.8百万トン。資源はあるが、投資環境や技術、国際制裁の影響などが開発の速度に影響。戦略的資源として国家レベルの管理強化が予想される。

6. ベトナム(埋蔵量の再評価で注目)

  • 状況:USGSは約3.5百万トンと報告。ただし過去に示された推定値から数値が見直されるなど、評価の変動が大きい。国内での調査・データ精査と外資・地域投資が鍵。

7. アメリカ合衆国(埋蔵量は中規模だが、再興の動き)

  • 状況:約1.9百万トン。米国内でもMountain Pass(カリフォルニア)などの鉱山が再稼働・拡張され、政府や企業はサプライチェーンの内製化を加速させています。ただし精製能力は限定的で、依然として対外依存が残る分野も。

8. グリーンランド(高品位の可能性)

  • 状況:約1.5百万トン。地政学的にも北極圏・欧米の投資が入りやすいため、今後の開発・輸出政策次第で重要性が高まる。インフラ整備コストが課題。

9. タンザニア / 10. 南アフリカ(資源国として潜在力)

  • 状況:いずれも数十〜数百万トン未満だが、鉱区の点在や新規探査で評価が変動し得る。アフリカ諸国は環境配慮と利益配分が開発受入の条件になる場合が多い。

「埋蔵量が多ければ安心?」 — ここに落とし穴あり

単純に“埋蔵量が多い=供給を支配できる”わけではありません。重要なのは:

  • 採掘→選鉱→分離(精製)→金属化までの加工チェーンが国内にあるか。
  • 環境ルール・投資環境・政治リスク(採掘許認可、住民合意、輸出規制など)。
  • 生産の実績(年間生産量)と埋蔵量は別物。中国は埋蔵量も多いが、何より精製と生産量で世界の供給を握っています。

国際政治・企業は今、何をしているか?

  • 供給の多様化:米欧はオーストラリア、ブラジル、インド、アフリカなどと提携して鉱山開発・精製投資を進める。
  • リサイクルと代替材:使用済み永久磁石やバッテリーからの回収技術の開発。
  • 国内精製能力の整備:米国や欧州は補助金や戦略投資で精製設備を誘致・建設中。

みんなの声(SNS/世論を要約)

  • 「EVが普及するのに必要と聞くと、なんで『掘る国』が問題になるの?」(地方の自動車整備士) — → 加工拠点が偏ると“供給の絞り”や価格高騰、国家間の緊張につながるからです。
  • 「日本企業はどう備えてるの?」(メーカー勤務) — → 調達先の分散化、リサイクル技術への投資、同盟国との資源協力を強める動きが見られます。
  • 「地元住民としては環境が心配」(鉱山隣接地域の住民) — → 環境負荷・補償・雇用創出のバランスが開発の合意に直結します。

まとめ

  1. 埋蔵量ランキングは重要だが“全体像”を見よ — 埋蔵量だけでなく「どこで精製されるか」が供給支配力を決める。
  2. オーストラリアの埋蔵量は圧倒的だが、加工インフラの整備が鍵
  3. 中国は埋蔵量だけでなく加工・生産で世界をリードしており、政策的なコントロールがサプライチェーン全体に影響する。
  4. 今後はリサイクル、代替材、国際連携が重要 — 埋蔵量偏在のリスクを下げるには技術と政策両面の投資が必要です。