「猟友会を目指す人たちの本音」――志望者の動機と現場のリアル(背景解説つき)

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クマ被害やイノシシ・シカなどの獣害が深刻化する中で、地域の“現場”を支える猟友会(狩猟者団体)への関心が高まっています。

一方で、会員の高齢化や担い手不足、現場の過重負担など問題も浮上しており、「猟友会に入りたい」と考える人たちの声には、期待と不安が混在しています。ここでは代表的な“声”を紹介し、その背景を整理します。


① 「地域のために役に立ちたい」——使命感・地域貢献派

「地元の農家が被害で困っている。自分の手で何とか減らしたい。」――こう語る人は、猟友会に入る最大の動機の一つです。

背景解説:
鳥獣被害は農作物や林業に直接ダメージを与え、地域経済へ波及します。自治体はしばしば猟友会に駆除要請を出し、現場での主要プレイヤーは狩猟者です。地域の被害抑止を「自分ごと」として捉える人が多く、特に農村では住民の安全や生業保全のために参加する意識が強いです。自治体と猟友会が連携して実施隊を組む仕組みも整備されています。


② 「狩猟を趣味にしたい/伝統を引き継ぎたい」——文化・趣味派

「親や地域の先輩が狩りをしていた。自分もやってみたい」――伝統やアウトドア志向から入会する若者もいます。若い層はジビエ利用や自然体験を動機にすることが多いです。

背景解説:
狩猟は地域文化としての側面があります。ジビエの需要や食文化の関心上昇が追い風になる一方で、狩猟には専門知識と時間投資が必要です。猟友会は技術継承や講習会を提供する場でもあり、伝統継承を望む人にとっては魅力的です。


③ 「稼げるか試したい/副業にしたい」——経済志向派(だが現実は…)

「駆除報酬やジビエ販売で収入になるのでは?」――こういう期待で入会を考える人がいますが、現実は簡単ではありません。

背景解説:
自治体による駆除報償やジビエ事業の収益化は確かにありますが、報償は地域・個体・条件で大きく差があります。さらに道具代・燃料・処理コスト・時間を考えると、安定収入化は難しいケースが多いです。狩猟を生業にする専業者の数は限られ、専業化には高いハードルがあるため、経済目的だけでの入会は現実的な検討が必要です。


④ 「社会貢献したいが不安もある」——不安と葛藤を抱える層

「関わりたいけど、体力的・責任的に自分に務まるか不安」「銃器を扱う責任が怖い」――こうした慎重な声も多いです。

背景解説:
狩猟は危険を伴う活動であり、銃や罠の安全管理、捕獲後の処理、法令遵守が欠かせません。高齢化に伴う体力面の問題、銃器管理の負担、地域内の理解(近隣の反対や誤解)などが不安材料になります。猟友会側も安全教育や入門講習を行う一方で、実践に伴う負担が大きく、入会希望者の増加へつながりにくい構造があります。


⑤ 「現場の過酷さを知っているからこそ入る」——“問題解決志向”の現場型

「獲った後の運搬や処理、資金の問題を見てきた。だからこそ自分が現場で役に立ちたい」――実際に地域で手伝いをしている人によく聞かれる声です。

背景解説:
捕獲後の処理(解体・運搬・埋設等)は物理的・費用的負担が大きく、“獲って終わり”にできない現実があります。若手の一部は、現場の「不都合」を解消するため技術や仕組み作りを志して参加する場合もあります。現場実務を通じた改革志向は、将来の持続可能性を高める可能性がありますが、実行には時間と資源が必要です。


⑥ 「組織の古さ・保守性に対する不満」——改革派・批判派の声

「猟友会は古い体質で若者に合わない」「ガバナンスや支部ごとのばらつきが大きい」――こうした組織的問題を指摘する声もあります。

背景解説:
猟友会は歴史的に地域ごとの支部文化が強く、運営・内規が分散しているという指摘があります。高齢化、行政との関係性、法人格や運営の透明性など、近代的な組織改革の必要性が叫ばれており、若者にとって魅力的で柔軟な組織にするための課題が残っています。改革を求める若い入会希望者は「変えたい」というモチベーションを持つ反面、既存組織との軋轢を懸念します。


「みんなの声」――現場からのリアルな言葉(匿名で抜粋)

  • 「農家の友人が困っているのを見て。自分も何かできればと思って免許を取りました。でも、実際は装備や処理が大変で…想像より重労働です。」(30代・入会希望)
  • 「地域貢献が第一。ただ、‘捕ったら終わり’ではなく、処理や販売まで見据えないと続かない。」(50代・現役会員)
  • 「若者が集まらないのは組織の堅さが原因。デジタル化や柔軟な活動時間の設定が必要だと思う。」(40代・地域活動家)
    (発言は地域報告やインタビュー・現地ノート等の傾向をまとめた代表的な声です)。

なぜ「声」が分かれるのか?――根本的背景を整理する

  1. 担い手の高齢化と人口減:高齢化が進み、若者が都会へ出る地域では新規加入者が少ない。結果、負担が一部の高齢会員に集中します。
  2. 実務負担の大きさ:捕獲後の処理や運搬、人手の必要性、費用負担が意外に大きく、これを支える仕組み(処理施設・職能分担)が不足しています。
  3. 収入の不安定さ:駆除報酬やジビエ販売はあるが不安定で、生活の糧にするには工夫と投資が必要です。
  4. 組織の“古さ”と改革の必要性:各支部のバラつきや制度的硬直が若年層を遠ざける一因になっています。
  5. 地域と行政の関係:自治体との連携・予算配分が不十分だと、現場に過剰な負担がかかります。国・都道府県レベルの支援枠組みが重要です。

最後に:これから猟友会を目指す人へのアドバイス(実践的)

  1. まずは見学・講習に参加する:猟友会や自治体の講習、初心者向け研修で現場感を掴む。
  2. 現場の負担を理解する:捕獲後の処理や物理的作業の実態を確認し、協力体制を考える。
  3. 収支計画を立てる:装備費・維持費・燃料などのコストを試算する。駆除報酬だけで賄うのは難しいケースが多いです。
  4. 組織改革に関わる姿勢を持つ:若い意見は組織を変える力になります。安全性・デジタル化・若手指導の制度作りに参加することで、長期的な持続性に貢献できます。