医療に欠かせない「車椅子」──その発明と広がりの歴史、そして心温まるエピソード

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■ 車椅子のはじまりは16世紀のヨーロッパ

現代では病院や介護施設、街のバリアフリー化など、私たちの身近にある「車椅子」。しかし、この便利な乗り物がいつから存在していたのか、ご存じでしょうか?
実は、その原型は16世紀のヨーロッパにさかのぼります。

最初に車椅子を使ったとされるのは、神聖ローマ皇帝シャルル5世(カール5世)です。彼は晩年にリウマチを患い、歩行が困難になりました。そのため、座ったまま移動できる「移動椅子」を職人に作らせたのです。
当時のものは木製で重く、使用者自身では動かせず、召使いが押して動かすものでした。とはいえ、これが“車輪付きの椅子”の歴史的な始まりとされています。

■ 自走できる車椅子の誕生

現在のように、自分で車輪をこいで動かせる車椅子が登場するのは、17世紀から18世紀にかけてのことです。
1655年にはイギリスの発明家スティーブン・ファーリッシュが「自走式三輪椅子」を設計しました。これはハンドルを回して動かすタイプで、現在の手動車椅子の原型といえます。

その後、産業革命によって鉄やゴムが普及し、19世紀には軽量化が進みました。
特に注目すべきは、1933年にアメリカで発明された「折りたたみ式車椅子」
発明者は、航空エンジニアだったハーバート・エベレットハリー・ジェニングス
彼らは、事故で下半身不随になった友人のために、持ち運びやすく、自走できる金属製の車椅子を開発しました。
この構造が革命的で、世界中の病院や施設に一気に普及していきます。

■ 日本における車椅子の普及

日本では、明治時代に西洋式の車椅子が導入されました。当初はごく一部の医療機関や軍病院で使用されるにとどまっていましたが、第二次世界大戦後、負傷兵のリハビリや高齢者福祉が重視されるようになり、車椅子が広く使われ始めます。

1960年代には国内メーカーも開発を本格化。軽量なアルミ製、折りたたみ式、電動式など、様々なタイプが登場しました。
また、1970年代以降のバリアフリー法整備により、公共施設や交通機関での利用が進み、「誰もが移動できる社会」の象徴となったのです。

■ 有名な車椅子のエピソード

車椅子にまつわる話として有名なのが、物理学者スティーヴン・ホーキング博士の存在です。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)によってほとんど体を動かせなくなった彼は、車椅子に乗り、コンピュータ音声を使って世界中で講演を行いました。
ホーキング博士の言葉に、こんなものがあります。

「私の体は自由を失ったが、思考は宇宙を旅している。」

車椅子は、身体の自由を奪われた人に「再び世界とつながる手段」を与えたのです。
彼の姿は、「障害があっても人間の可能性は無限である」ことを世界に示しました。

また、映画『ミリオンダラー・ベイビー』では、事故で下半身麻痺になった女性ボクサーが車椅子生活を送るシーンが描かれ、多くの人に障害者の現実と尊厳を考えさせました。
こうした作品が社会の意識を変え、障害者に対する理解と共感が広がっていきました。

■ 最新の車椅子事情:AIとロボットの時代へ

21世紀の今、車椅子は単なる「移動手段」ではなく、テクノロジーの結晶に進化しています。
電動アシストや音声操作、さらにはAIによる自動運転機能を搭載したモデルまで登場。
パナソニックやWHILLなど日本企業も、デザイン性と機能性を両立させた次世代車椅子を世界に発信しています。

特に注目されているのが、「WHILL Model C2」などの電動モビリティ。
「車椅子」というより「パーソナルモビリティ」と呼ばれ、健常者と障害者の垣根をなくす設計が評価されています。

■ みんなの声

SNSなどでは、次のような声が寄せられています。

「祖母が車椅子になったけど、外出が楽しくなったって笑ってた。自由を取り戻すって、こういうことなんだと思った。」
「街で車椅子ユーザーがスイスイ動けると、自分も嬉しくなる。バリアフリーの進化を感じる。」
「WHILLに試乗したけど、未来の乗り物みたい!これなら障害って言葉がいらなくなるかも。」

こうした声からも、車椅子は「支援の道具」から「生きる力の象徴」へと変化していることがわかります。

■ まとめ:車椅子がつなぐ、人と社会の未来

車椅子の歴史をたどると、それは単なる医療機器の発展史ではなく、人間の思いやりと工夫の歴史でもあります。
皇帝を支えた椅子から、友人のために作られた折りたたみ式、そしてAIが支える未来型モビリティへ——。

車椅子は「人が人を助けたい」という気持ちから生まれ、今も進化を続けています。
私たち一人ひとりがその背景を知ることで、よりやさしい社会をつくる一歩になるのではないでしょうか。