“顔面攻撃”が多いって本当？～クマの行動パターンと被害、防衛力を強めよう～

近年、私たちの生活エリアでも ツキノワグマ や ヒグマ の出没・人身被害が増加しており、油断ならない状況になっています。
特にインパクトが強いのは、「顔面を狙った攻撃が非常に多い」という報告です。なぜクマは“顔”を攻撃するのか？その行動の背景は？そして、私たちはどんな備えをすべきか？
このブログでは、調査データ・医学的報告・現場事例・「みんなの声」を交えながら、クマ被害から身を守るための知識と対策を整理します。

１）被害現状と “顔面攻撃” の実態

まず、報告されている統計と、特に顔面・頭部への攻撃が多いという事実を確認します。

● 人身被害の増加

• ある調査では、2023年度に全国で198件、被害者219人、死亡者6人を記録。10 年前と比べると約2倍とも言われています。
• 山梨県立中央病院の報告では、2006年〜2019年の13年間で9例のクマ外傷を報告。全ての症例で顔面の受傷が認められたとしています。

● 顔面攻撃の傾向

• 医療現場の報告では、「顔の骨折・眼球の損傷・鼻の欠損」など、顔面部位が甚大な被害を受けるケースが数多くあります。
• 例えば、ある報道では「被害者の9割が顔面損傷」だったと伝えられています。
• その理由として、ある調査記事では「クマは覆い被さるように襲ってくる」「右手・左手の区別なく攻撃してくる」など行動パターンの分析もされています。

このように、「顔面を狙う」という傾向は科学的・医学的にも明らかになっています。
私たちが“顔・頭部”をいかに守るか、備えを考える必要があります。

２）クマが攻撃する状況・行動パターン

次に、クマが人を襲う際の典型的なシチュエーション・行動パターンを整理します。

● 出没・遭遇の場所・時間帯

• 症例報告（山梨県立中央病院）によると、受傷時間帯は 日の出から日没までの日中が中心。
• 受傷時期は、8月が最多、次いで11月、5～7月および10月にも発生。
• 山林内（入山・山菜採り・畑作業など）での遭遇が多く、また冬眠前の10‐11月には生活圏近く（住宅近く・果樹園など）での被害も出ています。

● 攻撃の初動・狙い部位

• 記事によれば、クマは「覆い被さるように襲ってくる」ことが多いとされ、「襲われたらうつ伏せになって顔・頭・首を守る」ことが致命傷を避ける手段の一つとされています。
• また、顔・頭部への攻撃が「武器・脅威の中心を除去するため」という考察もあります。例えば、刃物や銃で反撃してきた人に対し、「銃＝顔面」と認識され、顔面が優先的に狙われたとの分析もあります。

● 目的・動機

クマが人を襲う動機には複数のパターンがあります。

• 食物を求めて人里まで降りてくる（特に秋の収穫期やドングリ不作年）
• 突然の遭遇で「防御・驚き」からの反撃（興奮状態）
• 人を「脅威・敵」と認識して攻撃する（特に猟師・山林関係者に対して）
  これらが複合して「顔面を狙った攻撃」に結びつくと考えられています。

● 攻撃された際の被害の深刻さ

• 顔の骨（鼻骨・頬骨・下顎骨）を粉砕された例。眼球破裂、頭蓋底骨折・髄液漏れの重傷例も。
• 「路上でクマに襲われた男性は“顔のほとんどを失う”事態に…」という実例報道もあります。

このように、クマによる攻撃は“ただのひっかき傷”では済まないことが明らかです。特に顔面・頭部をどう守るかが、被害の命運を左右します。

３）みんなの声―実際にあった体験・町の声

現場でのリアルな声を交えて、被害防止・準備のヒントにしましょう。

「果樹を収穫し終えた直後、庭先でクマの足跡を見つけてゾッとした。妻と子どもは家の中に急いで戻ってもらった」
— 住宅地近くに住む50代男性（関西圏・里山近く）

「作業服を着て山菜採りに入ったら、突然二頭のクマが崖から転げ落ちてきた。心臓が止まるかと思った。顔ではなく、体をひたすら守った」
— 山間部在住・60代女性

「自治体のクマ出没メールが来てから、庭に出るときラジオをつけて“人がいる音”を出すようにしてる。被害は今のところないが、安心材料にはなってる」
— 北東北・林業関係者

これらの声からも、次のような共通点が読み取れます：

• 「人の生活圏・庭先・畑・山菜採り」等、日常活動領域での遭遇。
• 顔面ではなく“身体を守る”行動を無意識に取っている。
• 防備・発見しやすい環境づくり（人音・見通し・連絡手段）が有効視されている。

４）防衛力を強めるための具体的な対策

顔面を狙われる可能性が高い以上、私たちは備えを怠れません。以下、実践的に取り組める対策を整理します。

① 見通しと気配づくり

• 庭・畑・里山近くで作業するときは、「人がいる音（ラジオ・鈴・声かけ）」を意図的に出す。
• 草・竹・植栽を整理し、クマが近づいたときに気づきやすい環境に。
• 夜・早朝（日の出前・日没後）は特に注意。白昼も安心できませんが、遭遇確率が高い時間帯を自覚する。

② 顔・頭部・首を守る装備を意識

• 山菜採り・畑作業など、クマ遭遇リスクがある場面では ヘルメット・フェイスガード・首まわりのガードも検討。
• 万一襲われた際、「顔・頭は情報・呼吸・視界の要」であり、損傷が重いと命に関わる。報告でも「顔面が全例」で損傷ありとのこと。
• ただし、一般活動ではフル装備がかえって動きを制限することもあるため、いつ・どこで活動するかを考えて装備を選ぶ。

③ 遭遇時の行動パターン

• クマと鉢合わせになったときは、突然走って逃げるより落ち着いてゆっくり後退。背を向けて逃げると追われる可能性あり。
• 動きが鈍っている・丸くなっている・こちらをじっと見ている、という状況では警戒信号と捉える。
• 万一攻撃を受けた場合、「顔・頭・首」を手で覆い、伏せ姿勢を取ることが推奨されています。
• 撃退スプレー（クマ用ベアスプレー）なども一定の有効性が唱えられていますが、過信は禁物。事前に使い方・携行方法を確認しておく。

④ 食料・果樹・生ごみ管理

• 庭先・畑で果樹（柿・栗・リンゴ・キンカンなど）を栽培している場合、収穫しきれない実をそのまま放置するとクマを呼び寄せるリスク。
• 生ごみ・ペットフード・鶏小屋など、匂いをきっかけとする野生動物の進入ルートも確認して整理。
• 近隣住民と情報共有・出没地情報（自治体・警察）をチェック。出没エリア期間中は特に庭先作業を控える。

⑤ 住まい・庭・アクセスの備え

• 玄関・裏口・窓の鍵をきちんとかけ、夜間は照明やセンサーライトを使って「人の気配」を演出。
• 庭で作業する際には、複数人で行動する・連絡手段（携帯・無線）を持つ。
• 万一負傷した場合に備え、最寄りの病院・連絡先を把握しておく。クマ外傷は頭部・顔面を含む複雑な傷が多く、迅速な対応が鍵です。

５）まとめ：顔を守ることが“生き残りのキー”

まとめると、次のようになります。

• クマ被害は増加傾向にあり、住宅地・庭先・山菜採りなど身近な場面で発生しています。
• “顔面攻撃”が非常に高頻度で見られ、頭・首・顔を守る対策が重要です。
• 見通し環境・人の気配・装備・遭遇時の冷静な行動・食料・果樹・ごみ管理など、多面的な備えが必要です。
• 「みんなの声」からも、防御意識・環境整理・連携の重要性が浮かび上がっています。

これから秋・冬へ向けて、果実が熟し、野生動物の食欲も高まる時期がやってきます。あなたやご家族・地域の安全のために、今一度「クマが来るかもしれない環境」を想定し、防衛力を高めましょう。
このブログ記事が、少しでも“備え”のヒントになれば幸いです。