鍵穴に“接着剤”を入れられる被害 ～ 増える悪質イタズラと最新の対策

最近、店舗や住宅の「鍵穴」に接着剤を流し込まれるという悪質ないたずら・嫌がらせの報道が相次いでいます。

例えば2025年2月には人気ラーメン店の出入り口に接着剤が詰められ、営業に支障が出た事例が報じられました。被害は突然で、朝出勤してドアが開かない――という生活ルーティン崩壊につながり得ます。特に重要な仕事に就いている家や小規模事業者にとっては、業務停止や信用失墜という深刻な二次被害を招きかねません。

以下、実際の被害の傾向、被害に遭ったときの正しい対応、接着剤の性質ごとの除去の注意点、そして有効な予防策（最新の製品・運用含む）を、専門家情報と報道を踏まえてまとめます。

1) なぜ起きる？動機と被害の実際

動機は様々です。単純ないたずら、対個人の報復、営業妨害目的、また計画性の薄い行為（現場に証拠を残して逃走するケースも）などが報告されています。

被害の結果は「鍵が回らない→出勤や営業不能→鍵交換や修理で費用と時間が発生」する点で、個人の不便を超えて社会的な影響を生みます。被害の通報・相談は全国で増えているとの報道もあります。

2) 被害発見時の“やってはいけないこと”と正しい初動

まず冷静に。以下が推奨される初動です。

1. 不用意に自力でこじ開けない — 無理に鍵や工具で押し込むとシリンダー内部を傷め、修理不能になり鍵丸ごと交換が必要になることがあります。
2. 警察に通報（被害届のため） — 嫌がらせ・器物損壊事案として扱われる可能性があり、記録を残すためにも110番通報や最寄り署への届け出を。
3. 賃貸なら管理会社へ連絡 — 大家や管理会社に報告し、対応（鍵交換の負担や建物全体の対策）を協議。
4. 信頼できる鍵業者に連絡 — 状況を見て安全に開錠・除去できるか判断してもらう。自分で液体溶剤を流し込むなどのNG行為は避ける。

多くの鍵業者や専門サイトは「まずは警察と業者へ連絡」を勧めています。

3) 接着剤の種類で対処法が変わる

接着剤には瞬間接着剤（シアノアクリレート）、木工用ボンド、ホットメルト（グルーガン）、エポキシなどがあり、除去方法は異なります。

• 瞬間接着剤：熱やアセトン（除光液）で軟化する場合があり、専門業者が溶剤や専用工具で安全に除去することがありますが、内部深部まで浸透しているとシリンダー交換が必要になることが多いです。
• ホットメルト系：熱に弱いためドライヤーや温水での処理が有効な場合も。ただしドア材や塗装への影響に注意。
• エポキシ系：硬化後は非常に強固で、DIYでの除去はほぼ不可能。シリンダー交換が現実的。

重要なのは「接着剤の種類を自己判断で誤ると被害を拡大する」こと。従って専門の鍵業者に状況判断と処置を任せるのが安全です。

4) 最新の予防策・製品

被害報告増加に伴い、実際に役立つグッズや運用が広く普及しています。

• 鍵穴カバー／防水キャップ：普段は鍵穴を覆っておく製品。安価で取り付け簡単。接着剤を直接注入されにくくなります（ただし完全防御ではない）。ネットショップや建材系で多種販売。
• サムターンガード（サムターンカバー）：室内側サムターン操作やサムターン回し対策の一環。侵入手段を減らします。
• 監視カメラ・照明の強化：死角にカメラや人感ライトを設置すると抑止効果が高まる。映像は証拠として有効。警察通報と合わせて被害抑止に有効。
• 鍵シリンダーの更新（耐タンパー製品へ）：高性能なシリンダーや防滴・防塵仕様のものは物理的被害に強い。専門業者と相談して選ぶのが良い。
• 共同住宅・商店街での運用：管理組合や商店会で定期的な巡回、防犯カメラ共有、被害共有の仕組みを作ることで広域的な抑止が可能。

製品そのものは安価なものから高機能なものまで幅があるので、費用対効果を考えて導入してください。導入前に鍵業者や管理会社に相談すると最適案が得られます。

5) 法的側面と報告・保険

鍵穴への接着は器物損壊や脅迫に該当する恐れがあり、被害届や告訴の対象になり得ます。

被害の証拠（写真、監視映像、防犯カメラの記録、近隣の証言）を残しておくと捜査・民事請求に有利です。賃貸なら管理会社に連絡し、費用負担の所在を明確にしておきましょう。火災や業務停止など二次被害があれば、損害賠償や保険適用を検討できます。

6) みんなの声

• 「朝ドアが開かず出勤できなかった。鍵を交換したら3万円近くかかった」という被害報告が散見されます（個人実例・SNS）。
• 店舗経営者は「営業時間に支障が出て信頼に傷がつく」と懸念。被害後に監視カメラを強化したという声も。
• 「管理会社に相談したら建物全体で鍵の点検と防犯カメラ設置を検討してくれた」というコミュニティ対応の好例もあり、地域で協力する重要性が指摘されています。

（※個人のSNS投稿はプライバシー保護のため要約しています。引用は報道と鍵業者サイトの情報を基にしています。）

7) 被害予防チェックリスト

1. 日常的に鍵穴カバーや簡易キャップを装着。
2. 夜間の死角に人感ライトと監視カメラを導入。
3. 近隣・店舗間で被害情報を共有し、異常時に早期通報できる体制を作る。
4. 不審者・不審行動を見たら躊躇なく110番。被害が起きる前に通報記録を残すことで抑止力に。

終わりに — 社会問題としての認識を

鍵穴への接着という行為は単なる“子どもの悪ふざけ”の域を超え、生活や事業、地域コミュニティにリアルな被害を与えます。

個人でできる予防策と並行して、地域や管理者、行政が連携して抑止・早期発見の仕組みを整えることが重要です。被害に遭ったら「まず警察」「管理会社（賃貸）」「信頼できる鍵業者」の順で連絡し、むやみに自己処理せず被害の拡大を防いでください。