チョコレートが高い!今どこの国がカカオを作っている?~ 原料不足の「なぜ」を解説

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近年、スーパーやコンビニで「チョコレートの値上げ」や「小さくなったパッケージ」を目にすることが増えました。
原因の一つとして指摘されているのが「カカオ豆(カカオ)不足」です。
この記事では(1)国別の生産量ランキング(上位国の目安のトン数)と(2)カカオが不足している主な理由を、最新のデータと報道をもとに分かりやすく整理します。
まずは国別ランキング
最新の公的統計・業界集計をまとめると、世界の主要生産国は次の通りです(目安:最近の年度データ、単位=トン)。
- コートジボワール(象牙海岸) — 約 2,300,000トン 前後(世界最大)。
- ガーナ — 約 650,000トン 前後。
- インドネシア — 約 640,000トン 前後。
- エクアドル — 約 370,000トン 前後。
- ブラジル(など) — 数十万トン規模。全体として上位は西アフリカ諸国が圧倒的比率を占めます。
世界全体の生産量はおよそ4〜4.5百万トン前後のシーズンが多く、コートジボワールとガーナだけで世界生産の約4割〜5割を占める年もあります。つまり西アフリカの出来不出来が、価格と供給に直結します。
カカオが「少なくなっている」主な理由 — 6つのポイント
- 気候変動と極端気象(熱波・干ばつ・豪雨)
2023〜2024年にかけての西アフリカ(主要生産地)では、異常高温や降雨パターンの乱れが起き、開花や結実に悪影響が出ました。研究や報道は「気候要因が収量低下の大きな要因」であると指摘しています。 - 病害(例:カカオスウェルテッド・ショットなど)と木の老朽化
カカオ農園では古い木(更新されていない樹園)が多く、病気に弱い品種が残っている地域があります。病害が広がると回復に年単位の時間がかかり、生産量は下がります。業界専門家もこの点を警告しています。 - 農家の高齢化と後継者不足、経済的インセンティブの低さ
若者が別の職業に移る、あるいは稼げないために農業を続けられない、という事情があり、結果として耕作放棄や他作物への転換が進みます。 - 不法採掘(例:ガーナの「galamsey」)や土地荒廃
特にガーナでは金採掘(不法採掘)が農地を汚染・破壊し、カカオ農園の生産力を低下させています。土地や水が汚されればカカオは育ちません。 - 価格政策・流通の歪み、密輸・横流し
政府が固定価格を設定したり、支払い遅延が発生すると、農家や買い手の行動が変わります。安定的に儲からないと判断した農家が別の作物や採掘に移る、あるいは国境を越えた密輸が増える—そうした動きが供給を縮めます。 - 需給のショックと在庫の不足
複数年にわたる生産低下で業界在庫(ストック)が減り、短期的に需給がタイトになって価格が急騰するという悪循環が生じました。
価格へ直結 — 実際にどれだけ上がったのか?
報道によれば、2023〜2024年にかけてカカオ相場は大幅に上昇し、ある時点では過去最高水準に達しました(数年で数倍に達した局面も報告されています)。
この急騰がメーカーのコスト転嫁やサイズダウン(「バーが小さくなる」)を招いています。消費者目線での「チョコが高い・小さい」は、まさにこの価格ショックの影響です。
現場のリアル(農家・業界・消費者の声)
「みんなの声」として現場や消費者の反応をまとめます(報道・調査の抜粋を分かりやすく要約)。
- 農家の声(西アフリカ):「病気にかかった木を抜いて植え直したいが、苗も資金も足りない」「政府の販売価格や支払いが不安定で、もっと金になる仕事(例:金鉱)に人が流れている」。
- 加工・メーカーの声:「原料コストが跳ね上がったので配合を変えざるをえない」「在庫切れを避けるため発注を前倒ししている」。
- 消費者の声(欧米・日本など):「パッケージは似たままなのに中身が減った」「板チョコやイースターエッグが高くなった」。こうした実感はSNSや店舗の棚で広がっています。
今後どうなるの?(短期〜中期の見通し)
- 短期(1〜2年):気候回復や一部での豊作観測が出れば一時的に相場は落ち着くこともありますが、根本問題(病害・老木・農家の経済的困窮)が解決しない限り「また不足→価格上昇」が繰り返されるリスクがあります。
- 中期(数年):植え替え(更新)、耐病性品種の導入、農家支援(資金・技術)が進まないと供給は回復しにくい。企業側は代替材料の検討や製品設計の変更(カカオ含有量の再設計)を進めています。
消費者としてできること
- 「小さくなった/値上げされた」商品にすぐ怒らないで背景を知る — 原料の供給ショックが根本原因の場合があります。
- フェアトレードやトレーサビリティ(原産地表示)を確認する — 持続可能な供給につながる選択は長期的に効果があります。
- 地元の小さなチョコレートブランドやBean-to-Bar店を試す — 高品質で生産者に還元されやすい製品は、多少高くても価値がある場合が多いです。
まとめ
- カカオ生産は世界で約4〜4.5百万トン規模。トップはコートジボワール、ガーナ、インドネシア、エクアドルなど。西アフリカの出来不出来が供給に直結します。
- 生産減の主因は気候変動(熱波・異常気象)・病害・農家の高齢化・不法採掘・価格政策の歪みなど複合的。これらが同時に起きている点が厄介です。
- 結果としてカカオ価格は急騰し、メーカーは製品設計を変え、消費者は値上げや小型化を実感しています。今後は「農家支援」「病害対策」「気候適応」が鍵になります。


