日本国内での安全保障費用の具体的な使われ方を徹底解説、自衛隊費について

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1.日本の安全保障・防衛費の拡大と背景
まず、現状と背景を簡単に押さえておきましょう。
日本の防衛関係費(いわゆる防衛費)は、近年大きく増加しています。例えば、2024年度には当初予算で約8兆 7,005億円という規模が計上されています。 さらに、国内総生産(GDP)に対する割合も「1%を超える水準」になってきています。2024年には1.4%というデータもあります。 また、政府は「2027年度に防衛費・安全保障関連経費をGDP比2%まで引き上げる」という目標を掲げています。
こうした動きの背景には、「東アジアを取り巻く安全保障環境の変化」「ミサイル・サイバー・宇宙など新たな領域での防衛力確保」「近隣国・地域での軍事的プレッシャーの高まり」といった要因があります。
このような前提を踏まえて、「そのお金は具体的にどこにどう使われているのか?」を見ていきましょう。
2.防衛費がどこに使われているのか:内訳と用途
防衛費と言っても「ひとくくり」ではなく、用途・内訳が明らかになっています。以下、主な使われ方を整理します。
(1)「人的費用/自衛隊員にかかる経費」
最も大きな柱のひとつです。例えば、2022年度のデータでは、防衛関係費の約4割が「人件・糧食費」つまり自衛官の給料・手当・食事・生活環境などに当てられています。
これには、採用・定着・勤務環境改善といった人的基盤強化のための経費も含まれています。2027年度に向けた整備計画でも、「自衛官の処遇改善」「居住・勤務環境の改善(例えば営舎の改善等)」が明記されています。
ポイント:防衛力を維持・強化するうえで“人”の確保・維持は不可欠なので、まず“人件費”が大きな比率を占めているということです。
(2)「施設・維持管理・燃料といった維持運用費」
続いて、防衛装備や部隊・基地が“使える”状態を保つための維持費・運用費です。例えば、2022年度のデータでは、燃料の購入・施設の維持・管理などの経費が、防衛関係費の約2割程度を占めています。
加えて、基地対策、施設整備、弾薬の備蓄、維持整備が近年重点化されています。2027年度に向けた整備対象経費(装備取得・研究開発・施設整備等)も大きく伸びています。
ポイント:どれだけ装備があっても「使える状態に維持/運用」できなければ意味がないため、この維持運用費は地味ですが重要です。
(3)「装備・いわゆるハードウェアの取得・近代化・研究開発」
もう一つの柱が“装備の取得・近代化・研究開発費”です。これは新しい兵器・システム・ミサイル・宇宙・サイバー関連など、防衛の“質”を上げるために使われています。
例えば、2024年度の当該資料では「衛星コンステレーションの構築」「次期防衛通信衛星」「スタンド・オフ・ミサイル」「統合防空ミサイル防衛能力」などが装備近代化・研究開発の対象経費に挙がっています。 また、内訳データ(Wikipediaまとめ)では、防衛費の内訳として以下のような構成も示されています:人件・糧食費 27.7%、維持費 29.9%、装備・艦船建造等 22.1%、基地対策6.2%、研究開発5.8%、施設整備5.0%。
ポイント:「量だけ」ではなく「装備の質・新技術対応」への投資が防衛力強化には欠かせず、最近の予算増加はこの分野にかなりシフトしてきています。
(4)「基地対策・米軍再編・地元負担軽減など」
日本の場合、もうひとつ特異な使われ方があります。例えば、沖縄県にある米軍基地関連対策(移設・地元負担軽減)や、日米安全保障体制に関わる米軍再編関連経費などが、防衛関係費の中に一定の割合を占めています。例えば、令和7年度予算には「SACO・米軍再編関係経費」として2,257億円が計上されています。
また、「基地対策経費」として、基地周辺の住居住環境整備・騒音対策・地元自治体支援なども含まれています。注目すべきは、このような“安全保障インフラ・社会的調整”費用も防衛費の一部であるということです。
ポイント:「装備・兵士」だけでなく「安全保障の枠組み・地元環境・同盟関係維持」にもお金が使われている、という点を理解しておきたいです。
3.使われ方から読み取る「課題・論点」
具体的な内訳を把握したうえで、「この使われ方にはどんな課題・論点があるか」を少し掘ってみます。
・増加スピードと社会保障・教育・インフラとの兼ね合い
防衛費が増えるということは、当然ながらその分他の予算との競合が出てきます。日本では少子高齢化・人口減少・社会保障負担の増加という構造的な重みがあり、財政運営における優先順位が問われています。たとえば、「安全保障が重要だから防衛費を増やす」のは理解できますが、その反面「教育・医療・福祉・地方インフラ」に回すべきお金が削られたり、税・借金で補われる可能性もあります。
また、装備・研究開発費が伸びているということは“人件・維持”以外の“ハードの強化”に重点が移っているとも言え、この転換が適切かどうか、透明性を伴って議論されるべきです。
・明確な配分・透明性の課題
例えば、陸・海・空それぞれにいくら配分されているか、あるいは装備取得費/維持費/人件費の比率がどう推移しているか、といった細かい内訳の公開が不十分、という指摘があります。実際、ある記事では「2022年度以降、『陸海空配分比』の記載が白書から消えた」という報告があります。
透明性を高めることは、国民が防衛費が本当に妥当に・効率的に使われているかをチェックするうえで大切です。
・“防衛の質”と“役割の変化”
日本では従来「専守防衛」という防衛政策の基本枠組みがありますが、近年は「反撃能力」や「スタンド・オフミサイル」「宇宙・サイバー防衛」など新たな領域・役割が出てきています。これに応じて、装備・研究開発費が増えているわけですが、この変化が「防衛だけ」に閉じた議論ではなく、「外交・地域安全保障・リスクの変化」と連動しているかを見極める必要があります。例えば、2027年度にGDP比2%の目標を掲げていることも、こうした役割変化の反映といえます。
・財源・世代間の負担の問題
防衛費を増額するには財源が必要ですが、有識者の中では「現役世代ばかりに防衛費の財源負担を負わせるな」という意見もあります。なぜなら、防衛は“国家としてすべての国民”が恩恵を受ける公共財であり、高齢世代も含めて負担を分かち合うべき、というものです。
また、防衛費を増やすと「増税」「借金増」「他の歳出の抑制」という選択肢が表に出てきます。こうした事実をふまえて、使い方・優先順位を国民としても意識しておく必要があります。
4.皆さんの声:暮らし・視点から見た“防衛費”
ここで、ネット上・報道・有識者の声も交えて、「防衛費の使われ方」について国民的な反応・意見を紹介します。
「人材確保・装備整備が大切というけれど、まず“持てる装備を使える状態にする維持整備”の方が先でしょう」
「防衛って、他人事だと思ってきたけど、ミサイルが飛んでくるかも、という時代になったら“私たちの暮らし”にも直結する」
「でも教育・福祉・インフラも削らずにどうやって防衛を引き上げるのか。やっぱりバランスが重要だと思う」
「透明性をもっと上げて、陸海空でどう使われているか、装備・研究にどれだけ投資されているかを国民にわかるようにしてほしい」
「自衛官の待遇改善は賛成。人がいなきゃ防衛力にならない。でもそのために他の公共サービスが縮むと寂しい」
こうした声から見えてくるのは、
- 防衛費を「国家戦略の必要性」として肯定する立場
- それと同時に「社会保障・暮らし・公共サービス」の優先を訴える立場
が共存しており、「バランス」「透明性」「国民との共有」が鍵になっているということです。
5.まとめ
- 日本の防衛費は「量」も「比率」も増加傾向にあり、安全保障環境の変化・役割変化がその背景にあります。
- 使われ方を見ると、「人件・糧食費(自衛官関連)」「維持運用費」「装備・近代化・研究開発」「基地・再編・地元対策」といった用途に区分できます。
- それぞれの用途において、「効率性」「透明性」「優先順位」「財源」が重要な論点です。
- 国民としては、防衛費がただ「増える」「目立つ」ことを追うのではなく、「どのように使われているか」「それは暮らし・社会・将来にとってどういう意味か」を意識することが大切です。


